2024年4月19日金曜日

シューマンの《ピアノと管弦楽のための幻想曲》

  シューマンのピアノ協奏曲の第1楽章が元々は《ピアノと管弦楽のための幻想曲》として書かれたものだが、それを復元した楽譜が出ていること(Eulemburg版、1994年刊)を恥ずかしながらつい最近まで知らなかった。この「幻想曲」と「協奏曲」に大きな違いがあるわけではないが、細部にはいろいろ変更点があり、なかなかに面白い(音源:https://www.youtube.com/watch?v=K4PEANOD3yc)。そして、単純に後者が前者の「改良版」だというわけではなく(ただし、冒頭については「協奏曲」の方が断然よい)、前者にもそれなりの魅力があるように思われた(さればこそ、「協奏曲」の演奏に「幻想曲」に由来するパッセージを用いたもの――たとえば、ハインツ・ホリガー指揮の管弦楽――もあるわけだろう)。ともあれ、シューマン・ファンにとっては一見、一聴の価値ある作品だといえよう。