作曲家が亡くなれば、作品の原稿が遺される。が、こんなご時世だけに、かなり名の通った人のものであってもその引き取り手を見つけるのはなかなかに難しいようだ。とはいえ、そうした作曲家の作品が四散してしまい、行方不明になってしまったとしても、それも運命というものなのかもしれない。 逆に、そうして埋もれた作品の中で、未来に復活するものがあることもまた。
最近の輸入楽譜の高値にはびっくり。円安も1つの原因ではあろうが、元々の売価が上がっているということもあろう。たとえば、東京の某楽譜店のサイトを見てみると、デュカスのピアノ・ソナタに何と約15000円という値段がついている(まあ、この店は概して価格設定が高い――ので私は利用しない――のだが、同じ楽譜が大阪のササヤ楽譜で最近見たところでは10000円ほどであった)。これではほとんどの人には手が出まい。すると、この名作を知りたい人の多くはIMSLPからデータをダウン・ロードするしかないだろうし、そうなると楽譜はいっそう売れなくなり、さらに価格が上がることに……。クラシック音楽界の衰退ぶりはこのようなところでもうかがうことができるわけだ。