ユージン・オーマンディ(1899-1985)が指揮したフィラデルフィア管弦楽団の録音をあれこれ聴いているが、なかなかに面白い。中にはプロコフィエフの第7交響曲のように、作曲されてからさほど時を経ずに録音されたものや、録音当時にはまだ新しかったアメリカの作品なども含まれており、歴史ドキュメントとしても興味深い。
ところで、彼らの音楽のありようは「本場」欧州のものとは違うところがいろいろあるのだろうが、日本人がそれを「所詮、アメリカ流の音楽だなあ」などと言うならば(昔の音楽評論家には――言い方はそこまで露骨ではないにしても――そう言う人がいた。柴田南雄のような人でさえそれに類することを述べているからオドロキである)、それはいかがなものか。さすがに今やそんなふうに言う人は少なかろう。おそらく、現在の聴き手はその「違い」を楽しめるようになっているだろうし、そうした音楽のありようからいろいろなことを考えるのではなかろうか。
以前ここで話題にしたドイツ・グラモフォンの『アヴァンギャルド』ボックスも聴き始めた。真っ先に手が伸びたのはリュック・フェラーリの作品を収めた1枚。《ソシエテⅡ》(https://www.youtube.com/watch?v=AYy7dKTFHbo)など、今演奏会で取り上げられてもおかしくないと思う。とはいえ、他の少なからぬ作品にはもはやアクチュアリティはない。が、「歴史の一コマ」と割り切って聴く分には実に面白いし、いろいろと考える材料を提供してもくれる。