いしいしんじ『チェロ湖』(新潮社、2025年:https://www.shinchosha.co.jp/book/436305/)を読了した。同書の存在は妻に教えられたのだ(妻はそれを愛読している某氏のブログで知ったとのこと)が、「よくぞ教えてくれた!」と感謝感謝。およそ900頁にも及ぶ大作であり、読むのにけっこう時間がかかったが、それはまことに幸せな時間だった。
感想は次の一個に尽きる――「胸が一杯になった」。もちろん、読みながらさまざまな思いが心に浮かんだが、それを整理整頓して文章にしてしまうと、どこか嘘が混じってしまうような気がしてならない。研究書・論文やその類の読み物、あるいはノンフィクションならば「読んだこと」はきちんと言葉で整理すべきだが、文学作品には必ずしもその必要はあるまい。
ともあれ、『チェロ湖』を読み終えたときの思いを一言で集約すると先に述べたものになるわけだが、そうした「思い」はもしかしたら、音楽ならばもう少し細かく表現できるかもしれない。そして、それはいずれ《チェロ湖》と題するチェロ独奏曲に結実するかもしれない(自分の「趣味の作曲」では大したものはできそうにもないが、それでもよいのである)。