ハンス・アイスラー(1898-1962)の管弦楽曲を手持ちのCD(今や生産中止のまことに便利な10枚組)で久しぶりに聴いてみたが、まことに面白い。とにかく「聴かせる」音楽に仕上がっており、その見事な職人芸に打たれる(たとえば、次のものなど:https://www.youtube.com/watch?v=xErSSMF8ruw&list=RDxErSSMF8ruw&start_radio=1)。彼はシェーンベルクの弟子で、「新ヴィーン楽派第4の男」とも言われる人だが、果たして現在、彼の作品がどの程度受容されているのだろうか。
試しにHMVのショップで調べてみると、CDは20点しかない。だが、同門のヴェーバーンの場合はもっと少ない(さすがにもう少しポピュラーなベルクではDVDなども含めて51点あった)。となると、アイスラーだけが冷遇されているわけでもなさそうだ。
演奏会ではどうなのだろうか。ちなみに、私はヴェーバーン作品は何度か実演で聴いたことがあるが、アイスラー作品は一度もないし、近場の演奏会で取り上げられた例も知らない。もちろん、欧米ではもっと演奏の機会があるだろうが(Wikipediaの日本語版とは異なり、ドイツ語版での「ハンス・アイスラー」の項はまことに充実している)、それほど人気があるわけでもなかろう。
アイスラーの作風は元々先鋭的なものだったのだが、やがて社会主義に共鳴して(師匠シェーンベルクなどに比べれば)「わかりやすい」ものに転じた。だが、その中身は(私が聴く限りでは)しっかりしており、決して権力や大衆に迎合しているわけではない。それゆえ、「前衛」時代の作品も含めて、もっと演奏されてもよいような気がする(ちなみに、楽譜についてはBreitkopf全集が刊行中)。私の場合、器楽曲の方に興味があるのだが、彼の3曲のピアノ・ソナタを取り上げる演奏会があれば、迷わずに聴きにいくだろう。