2023年12月31日日曜日

2023年も今日で終わり

  2023年も今日で終わり。今年はなんとなく停滞の一年だったが、自分についての気づきもいろいろあった。来年以降に活かしていきたいものだ。

「あれもこれも」の時期はもちろん、今や「あれかこれか」の時期さえも過ぎている。すなわち、もはや「これだ!」でやっていかなければならないわけだが、幸い今年はそれが何かがわかったような気がした。となると、後はそれを実行しさえすればよい。あとどれだけ生きるかことになるかはわからないにしても、最後に後悔せずにすむように……。

 

先日、たまたまFMで山下和仁の編曲・演奏でストラヴィンスキーの《火の鳥》組曲を聴いた。随分昔に評判になった演奏だが、今改めて聴き直してみると、やはり凄い。超絶技巧もさることながら、ギター一挺で何ら不足を感じなせない表現力にただただ圧倒される。管弦楽による原曲の演奏でこの山下に匹敵できるものが果たしてどれだけあるだろうか。この《火の鳥》がすっかり気に入ったものだから、ディスクを購ってしまった。それには他にもムソルグスキーの《展覧会の絵》が収められており、これも凄い。

 だが、実は山下の録音で私がずっと聴いてみたいと思っているのは、フェルナンド・ソルのギター独奏曲全集(CD16枚!)だ。これはすでに生産中止なので、いつか復活してくれないかなあ。

 

2023年12月22日金曜日

今日

  今日、母が亡くなった。覚悟はしていたので、意外にショックは少ない(が、後から響いてくるかもしれない)。母との間にはここ数年、実にいろいろな難儀なことがあり、わかったことがある(自分自身が抱えていた問題点についても)。その結果、己の来し方と行く末についていろいろと考えさせられた。ともあれ、己も人も欺かず、人には親切にしなければ……。

2023年12月17日日曜日

メモ(105)

  作曲家が亡くなれば、作品の原稿が遺される。が、こんなご時世だけに、かなり名の通った人のものであってもその引き取り手を見つけるのはなかなかに難しいようだ。とはいえ、そうした作曲家の作品が四散してしまい、行方不明になってしまったとしても、それも運命というものなのかもしれない。 逆に、そうして埋もれた作品の中で、未来に復活するものがあることもまた。

 

 最近の輸入楽譜の高値にはびっくり。円安も1つの原因ではあろうが、元々の売価が上がっているということもあろう。たとえば、東京の某楽譜店のサイトを見てみると、デュカスのピアノ・ソナタに何と約15000円という値段がついている(まあ、この店は概して価格設定が高い――ので私は利用しない――のだが、同じ楽譜が大阪のササヤ楽譜で最近見たところでは10000円ほどであった)。これではほとんどの人には手が出まい。すると、この名作を知りたい人の多くはIMSLPからデータをダウン・ロードするしかないだろうし、そうなると楽譜はいっそう売れなくなり、さらに価格が上がることに……。クラシック音楽界の衰退ぶりはこのようなところでもうかがうことができるわけだ。

2023年12月8日金曜日

オーマンディとフィラデルフィア管の録音を楽しく聴く

  ユージン・オーマンディ(1899-1985)が指揮したフィラデルフィア管弦楽団の録音をあれこれ聴いているが、なかなかに面白い。中にはプロコフィエフの第7交響曲のように、作曲されてからさほど時を経ずに録音されたものや、録音当時にはまだ新しかったアメリカの作品なども含まれており、歴史ドキュメントとしても興味深い。

ところで、彼らの音楽のありようは「本場」欧州のものとは違うところがいろいろあるのだろうが、日本人がそれを「所詮、アメリカ流の音楽だなあ」などと言うならば(昔の音楽評論家には――言い方はそこまで露骨ではないにしても――そう言う人がいた。柴田南雄のような人でさえそれに類することを述べているからオドロキである)、それはいかがなものか。さすがに今やそんなふうに言う人は少なかろう。おそらく、現在の聴き手はその「違い」を楽しめるようになっているだろうし、そうした音楽のありようからいろいろなことを考えるのではなかろうか。

 

 以前ここで話題にしたドイツ・グラモフォンの『アヴァンギャルド』ボックスも聴き始めた。真っ先に手が伸びたのはリュック・フェラーリの作品を収めた1枚。《ソシエテⅡ》(https://www.youtube.com/watch?v=AYy7dKTFHbo)など、今演奏会で取り上げられてもおかしくないと思う。とはいえ、他の少なからぬ作品にはもはやアクチュアリティはない。が、「歴史の一コマ」と割り切って聴く分には実に面白いし、いろいろと考える材料を提供してもくれる。