このところ「ピアニスト・ラフマニノフ」の録音を改めて聴き直している。言うまでもなく作曲家として偉大な彼だが、ピアニストとしても20世紀屈指の存在だ。その凄さは「作品の解釈者」としてのものというよりも、「創造的なパフォーマー」としてのものであり、こうしたものに馴染んでしまうと、ますます演奏会から足が……(もちろん、「これは!」と思うものがあれば、躊躇せずに出かけたいが)。
日本語で読めるプロコフィエフ関連本はごく限られていた(というよりも、ほとんどない、という方が正しい)が、最近、好著が出た。それは菊間史織『プロコフィエフ』(音楽之友社、2024年)である(https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?id=221900)。彼の生涯と音楽のありようが新しい情報に基づいて手際よくまとめたられているのみならず、読み物としてもよいので、ファンには強くお勧めしたい。
そのプロコフィエフの第8ソナタを今勉強中。新年度からそれを取り上げる学生がいるからだけではなく、自分でもこの作品のことをもっとよく知りたいと思ったからだ。そこで、楽譜に「塗り絵」をした上でピアノに向かって音の感触を耳と指で味わっている。なかなか先へは進まないが、それでもまことに楽しい。このプロコフィエフに限らず、他の作曲家の作品についてもこのところそうした楽しみ方をしているので、ますます演奏会から足が……。
今年はシェーンベルク・イヤーだが、他の作曲家のように作品をまとめたCDボックスが出るということは今の時点ではないようだ。やはり、彼の音楽はいまだに普通の聴き手にとっては馴染みがたい「現代音楽」なのだろうか?