世の中にはあまり知られていない優れた作品がいくらでもある。そして、そうしたものに出会うと、「なぜ、これほどの作品がもっと演奏されないのか?」と思ってしまう。とともに、「なぜ、いつも決まり切った曲ばかり何とかの一つ覚えみたいに取り上げられているのか?」と不満を覚える。
先日もカタルーニャ出身の作曲家ルベルト・ジェラルト(Robert Gerhard、1896-1970)の《管弦楽のための協奏曲》(1965)を聴き、そのあまりの見事さに深い感銘を受けた。「なぜ、これほどの作品が……」:https://www.youtube.com/watch?v=d0ndg4EZenI
この人のことはずっと以前から気になっていたのだが、大学の図書館でたまたまこの曲のスコアを見つけ、ぱらぱらとめくってみたところ実に面白い。そして、実際の音を聴いてみるとまさに期待通り。音列作法に基づく無調の曲で、全編緊張に満ちているのが、それだけではなく、音の動きが実に活き活きとしており、どこか飄々としたところさえある。とにかく、管弦楽の名人芸を駆使した1つひとつの出来事が面白く、最後まで耳を離せないのだ。