2020年2月7日金曜日

B. A. ツィマーマンの名作《フォトプトシス》

 ベルント・アロイス・ツィマーマン(1918-70)の作品は、昔はそう簡単には聴けなかった。録音は数えるほどしかなく、放送でもほとんど取り上げられなかった。ところが、今や種々の録音があり、また、インターネットにも音源があげられている。便利な時代になったものである。
 つい最近も、たまたま次のものを見つけた:https://www.youtube.com/watch?v=F44CCFvnkDY。名作《フォトプトシス》(1968)である。これがなかなかの名演で聴いて深い感動を味わった。動画なので演奏しているさまを見ることができるが、それもまた興味深い。
 演奏はケルンのWDR交響楽団であり、ケルンといえば作曲者ツィマーマンゆかりの地だ。彼は50代前半で世を儚んで自殺したのだが、その作品は今、こうしてケルンの楽団が熱演し、聴衆も喜んで聴いている。《フォトプトシス》はおよそ半世紀前の作品だが、この動画の演奏者の大半はその後に生まれた人たちだろう。
 ともあれ、この作品を未聴の人は騙されたと想って、一度聴いてみられたい。全曲は大きく3つの部分からなり、中間部ではあれこれのコラージュがなされており、第3の部分では多層的な音響が不思議な時間・空間感覚をもたらしてくれよう。