今日、「没後50年 福田平八郎」展(於:大阪中之島美術館)を観てきた。すばらしかった。彼の絵の何に惹かれるかといえば、飄々としたところ、そこはかとなく漂うユーモア感、構図やデザインの面白さ、といった点だろうか。かなりの数の作品やスケッチが展示されており、作者の確かな職人芸、芸の幅の広さ、そして、想像力・創造力の豊かさにただただ圧倒されるとともに、個々の作品を大いに楽しませてもらう。とともに、何とも晴れやかな気分になり、なんだか元気になった(私が芸術に求めるのはこうしたことであり、いくら何かを認識させ、考えさせてくれるものだとしても、その結果、絶望させる――ことがあったとしても、その中にたとえほんのわずかでも希望が見えてくるようなものならばともかく、そうでない――ような芸術であれば、私にとっては不要である)。
ところで、私が福田の絵画に出会ったのは中学生のとき。美術の授業で用いられていた副読本に収められていた『汀』という作品である。そこには他にもいろいろな作品(の写真)が納められていたが、この福田の『汀』とルネ・マグリットの『光の帝国』という絵がとりわけ私の心をとらえたのだった。その際、美術の教師の示唆は何もなかった。自分でそれを見つけ、好きになっただけである。が、そうした偶然の機会、その後の人生を豊かにしてくれたものとの出会いが与えられたことは幸いだったと思っている。たぶん、「何か」との同様な出会いをしている人は少なからずいよう。というわけで、やはり美術や音楽といった教科は義務教育からはなくなって欲しくない。