坂本龍一の評伝が出た:https://dps.shogakukan.co.jp/sakamotoryuichi。上記リンク先、およびAmazonで一部を「試し読み」してみたが、自分で買いたいとまでは思えなかった(可処分所得が少なく、他のものを優先せざるをえないので)。とはいえ、いちおう読んで見たいという気持ちはあるので、その機会に恵まれたときにまた改めて感想を述べることにしよう。
昨晩、随分久しぶりに学部時代の恩師、松本清先生と電話で四方山話をした。その際、坂本龍一を話題にしてみると、件の評伝には出てこない(出せない!?)ような興味深いエピソードをいろいろ教えてくれた。先生は坂本龍一の作曲の師、松本民之助(1914-2004)のご子息(兄上は作曲家の松本日之春(1945-)氏)で、同時期に「松本作曲教室」で学んでおり、学生時代にもいくらか交流があったので、若き日の坂本の一面をよく知っているわけだ(それゆえ、「評伝」の著者は兄の日之春氏だけではなく、松本先生にもインタヴューすればよかったのに、と思う)。
松本先生の話で知る若き日の坂本龍一はやはりある面ではまことに非凡な人であった。つまり、己の能力とその限界(どんな才人にも限界はある)がわかっており、どうすればそれを活かして生きられるかということについて明確な見通しを早々と持っており、しかも、その後、それを実践して成功を収めたからである。まさにドラッカーが言う意味での「マネジメント」の達人に他ならない。