2025年11月7日金曜日

音とお茶とことばの時間

  遅ればせながら今月2日に出かけてきたイヴェントの話題を。それは「音とお茶とことばの時間」(於:オンガージュ・サロン(https://www.engage-salon.com/%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88/))というものだが、これが期待をはるかに超える味わい深い会だった。

 それはたんに「音楽+詩」というものではなく、両者の大きな相乗効果がもっと豊かな場をつくりあげていた。まず別室から聞こえてきたのはドビュッシーのピアノ曲《夢》。生の音だが演奏者は眼前におらず、そのうち、そこに言葉が重なってくる。これまた語り手の姿は見えず、声が上から降ってきたのだ(それらを聴くうちに、私はなぜか少年時代のことが思い起こされて、少しばかりせつない気持ちに……)。

 こんなふうにはじまった会は、その後もいろいろな趣向が凝らされており(先のリンク先にあげられているチラシに「構成」者の名があげられている点に注意されたい)、最後まで楽しく聴く(観る)ことができた。が、それ以上に興味深かったのは、音楽と詩(ピアニストと役者)のスリリングな共演ぶりだ。それはたんに「音楽」と「詩(演技)」を足し算したものなどではなく、それ以上のものが実に多様な姿を示しつつこちらに迫ってくるのだ。そして、それは時には大いなる安らぎを、時には深い感動をもたらしてくれたのである。というわけで、この会の演(奏)者、構成者、企画運営に携わった方々に心からの御礼を。