先日、散歩道の紅葉を眺めていたとき、ふと「さわると秋がさびしがる」という一節が頭に浮かんだ。「そうだ、確かそんな題名の詩があったはずだ」と記憶の糸をたぐりよせてはみたものの、それ以上のことは思い出せない。そこで帰宅後に調べてみると、詩を書いたのはサトウハチローで、それに中田喜直が曲をつけていたことがわかった(この歌自体の解説:https://ysfc.weblogs.jp/chronofile/2006/10/post_4972.html、そして、歌の音源:https://www.youtube.com/watch?v=xXqaBSS4yrY)。 1967年8~9月にNHKの『みんなのうた』で初放送とのことだから、それなりに古い歌だということになるが、私は曲も詩の内容も全く知らなかった。にもかかわらず、曲名だけがなぜか頭の中に入っていたのである。
その先日の散歩の際、件の題名のみならず、それに付随するかたちでなにやらヴァイオリンのフレーズも浮かんだ。「秋の日の ヴィオロンの……」というわけではないが、とにかく、ヴァイオリンがフラジオレットで奏でる音楽が確かに頭の中で鳴り響いたのである(それはそののち知った「童謡」の雰囲気とはおよそ異なるものだった)。その具体的な中身はもはや覚えておらず、雰囲気だけが脳裏に留まっているのだが、散歩中にまた、かすかな「ヴィオロンの」音が聞こえてくるかもしれない。