先日、大学の図書館でゲイル・トヴェイト(1908-81)のピアノ曲集《ハルダンゲルの50の民謡》作品150の楽譜を借りてきて、つらつらと眺めている。これは民謡の創造的編曲であり、まさにグリーグの衣鉢を継ぐ仕事だといえよう。
幸いYoutubeにも音源があった(楽譜付き! https://www.youtube.com/watch?v=of9ey5jJ7z8)ので、それも聴いているが、何とも心安まる音楽である。これが演奏会で取り上げられれば、て私以外にも少なからぬ人が喜んで聴きに出かけるのではなかろうか(グリーグ演奏の名手、中村圭介さんあたりに期待したいところだ)。
ところで、このトヴェイトは幾度もの災難に見舞われており、作品の大半が失われたのだそうだ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%88)。
「人生いろいろ」だとはいえ、お気の毒だとしかいいようがない。が、それでも現存する数少ない作品はこれからも演奏され、聴かれ続けることになるだろうから、いくら作品が現存しても全く顧みられない作曲家よりはこの人は幸せである。
日本の民謡でもこうした「民謡の創造的編曲」があれば面白いだろうに。歌曲としては間宮芳生(1929-)の《日本民謡集》がある(驚くべきことに、もうじき「増補改訂版」が出るのだとか(http://shop.zen-on.co.jp/p/728141))。
が、この水準のものがピアノ曲にも欲しいと切に思う(のは私だけではあるまい)。
今日は12月8日。81年前にあの無謀な戦争に突入した日である。そして、日本は今もそのツケをいろいろな面で払わされ続けている。