いや、これは面白い(https://www.youtube.com/watch?v=_Vwv_rWm2rY)。先細りの西洋芸術音楽にとって、このような才人の存在は貴重である。
ご近所図書館でようやく順番が回ってきたエマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書、2022年)を読んでいる。ウクライナの一件で一方的に「ロシア=悪」と決めつける報道(プロパガンダ??)が多い中で、この書で繰り広げられている冷静な分析にはいろいろなことを考えさせられる。とにかく、この紛争が一刻も早く終わることを祈りたい(祈ることしかできないというのは何とも情けないが、仕方がない)。
私はアイヴズやケージ、バーバーやバーンスタイン、モンクやマイルズのアメリカをこよなく愛するし、プラグマティズムの哲学を生み出し、発展させたアメリカに深い敬意を抱かずにはいられない。が、世界中で紛争を引き起こし、隷属させている国に無理難題を押しつけるアメリカにはうんざりである。
本格的な作品を立派にこなせることも大切かもしれないが、ちょっとした小品で聴き手を魅了でき、唸らせられることも演奏家にとって必要な技量であろう。ホロヴィッツはその意味でもまさに大家だったが、現在活躍しているピアニストではどうだろうか(たとえば、80歳を過ぎても何度かめの「ハンマークラヴィーア・ソナタ」を録音する人がいるが、それが現在の音楽の世界にとってどんな意義があるのだろう? もちろん、当人やファンにとってはしかるべき意義があるのだろうし、そのことを否定するつもりはないが……)。
その点でスティーヴン・ハフ(1961-)はまさに名人であろう。彼は本格的な作品でも見事な演奏を聴かせてくれるが、小品の演奏も実に巧みである。そんな彼の実演を聴いてみたいものだ。
「悟りの窓」の向こう側に見えたものは……(下の写真は京都の源光庵。昨日出かけてきたところ)