最近ラジオで近作の「現代音楽」作品をいくつか聴いた。いずれもまことによくできており、聴いていてほとんど何の不満も生じない。それどころか楽しかったとさえ言える。にもかかわらず、それらの作品はこちらに何の引っかかりも残さない。だから、もう一度聴いてみたいとは思わない。これはいったいどうしたことか?
昨今の作曲家たちの音を扱う技術の見事さにはただただ驚かされる。1970年代くらいまでの「前衛」が不器用にやっていたことを彼らはいともたやすく、格段に効果的な作品に仕上げてしまう。もちろん、それはそれでけっこうなことではある。が、そうした「技術」でもって「何」をしたいのかが私にはあまりよくわからない。わかりたいという気持ちはある。が、自分の実感を無視したいとも思わない。となると、やはり、他にもいろいろ聴いてみるしかなさそうだ。