すっかり忘れていたが、今年は矢代秋雄の没後50年だった。私が矢代の名をはじめて知ったのは小学生の頃。音楽の教科書に彼の編曲がいくつか収められており、「秋雄」という名前の字面が印象に残った。
その人の作品に触れ、すばらしさに感動したのはその数年後のことである。現代の音楽を聴き始めており、その中で《ピアノ協奏曲》との出会いがあったのだ。さらに数年後、当時の自分には高価すぎた総譜ではなく、比較的安価だった2台ピアノ用編曲版の楽譜を入手し(それには「1984.6.26」と購入日が記してある)、折に触れ眺めていたものである。
だが、その後「現代音楽」病が重症化し、矢代のような穏健な作風の作曲家からは遠ざかった時期もあった。が、病が癒えると愛も復活し、今に到るまで好んで聴いている(のみならず、矢代の種々の随筆を愛読し、『矢代秋雄和声集成』全3巻からもいろいろと学んでいる)。
没後50年を経ても作品がそれなりに演奏され、聴かれ続けている作曲家というのは、数の上から言えばおそらく少数派だろう(この日本に限っても、どれだけの作曲家がそのように遇されているだろうか?)。もちろん、さらに50年後、つまり、没後100年まで矢代作品が残り続けているかどうかはわからない。が、たぶん、大丈夫ではなかろうか。その結果を知ることができないのが些か残念ではあるが。