2026年10月20日火曜日

メモ(165)

 文楽や能を文楽劇場や能楽堂で観ていると、語りや謡にとって、やはりあのくらいの広さが適しているのだと実感させられる。日本語によるオペラも大ホールなどではなく、文楽劇場規模の小さな会場で演じられることを想定して書かれた方がよいのかもしれない。そうすれば、日本語の響きを曖昧模糊としたものにするベル・カントをわざわざ用いる必要はなくなるだろう。もちろん、その場合、もっと日本語に適した歌唱法や、そのような歌と会場のありように適した器楽部分の書き方を工夫する必要は出てくるだろうし、その結果、それがもはや「オペラ」と呼ぶには不適切な音楽になる可能性は大きい。だが、だとしても、私はむしろそのようなものを観てみたいし、聴いてみたい。