2023年6月6日火曜日

メモ(99)

 「言霊の幸わう国」――少なくとも近代以降のこの国の歴史を見ていると、こう言いたくもなる。そして、それは今現在でも同じこと。いや、事態は格段に悪化しているかもしれない。ということは、この先に待ち構えているのは……。いや、そうはならないように一人ひとりが(もちろん、私も)気をつけるしかあるまい。

 

 シェーンベルクのピアノ曲の録音をあれこれ聴き直しているが、やはりエドゥアルト・シュトイアマンの演奏が最高だ。 無調による曲であろうと、12音楽技法による曲であろうと、とにかく音楽が実に生々しく迫ってくる。他方、ポリーニの無機質な演奏を聴くとため息が出る(もっとも、そこに体現されている「音楽のオブジェ化」は当時の趨勢であって、彼個人を非難するつもりは毛頭ない)。さりとて、昨今の「美音」指向の流儀でシェーンベルクを弾かれてもやはりどこか変な感じがする。難しいものである。