ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第2番や交響曲第15番の締めくくりはまことに独特だ。私はそれを戯れに「彼岸終止」と呼んでいる。すなわち、苦悩に満ちた此岸を離れ、まさに彼岸への入り口を示しているかのような終わり方だからである(第15交響曲の場合、次のようになっている:https://www.youtube.com/watch?v=tNwttkJ1ECY(43’02”以降))。こうした音楽を書いているとき、作曲者本人は何を思っていたのだろうか。
新旧の特徴的な曲の始まり方と終わり方を網羅して見(聴き)比べしてみたら面白かろう。
ショスタコーヴィチは死後の世界など認めなかったというが、没後50年近く経ってもこうして彼の作品は演奏され、聴かれ続けている。確かに本人の肉体は滅んだかもしれないが、その精神は音楽を通してさまざまなかたちで人々の中で生き続けているわけだ。