2020年4月19日日曜日

ラジオ・ドラマの愉しみ

 このところNHKFMで土曜夜にあるラジオ・ドラマを聴いている(音楽番組も聴いてみたいとは思うのだが、今のところ食指が動くものがない)。実に面白い。小説よりは具体的だが実際の演劇、テレビ・ドラマや映画よりは抽象的なので、自分であれこれ想像してイメージを膨らませながら聴くわけだが、そこがよいのだ(あまりに何でも説明しすぎる映像ばかり見ていると、頭や感性の働きが鈍るように思うが、どうだろうか?)。
 この番組、「FMシアター」(22:00~22:50)は一話完結方式で、制作局も東京に限られない。昨夜聴いたものも高松放送局の制作であり、話の舞台も当地だった。すると、なんだか自分も旅をしているような気分になってきて楽しい。
 最近のことは知らないが、昔々はラジオ・ドラマの制作に放送局はかなりの力を入れており、たとえば寺山修司などはかなりの制作に関わっている。そして、そこに当時若手の現代音楽の作曲家が刺激的な音楽をつけているのだから、なかなか聞き応えのある作品となっていた。その寺山原作の『コメット・イケヤ』の音楽は湯浅譲二で、これは私が生まれた年に制作されたものだから当然リアル・タイムでは接していないが、再放送を10代後半に聴くことができ、その幻想的な物語と音響に陶然としたものだ。
 その『コメット・イケヤ』を含む寺山のラジオ・ドラマがCD化されていたことを後年知ったが、そのときには残念ながらほとんどが廃盤で、再度聴くことはかなわなかった。……が、つい先ほどYou Tubeで探してみたら、何とあるではないか!:https://www.youtube.com/watch?v=5n7c5h75Ae8
これはありがたい。というわけで、さっそく今夜にでも聴いてみよう。未聴の方にも是非、お勧めしたい。そして、他の現在のラジオ・ドラマを聴くことも。
(ラジオ・ドラマは音楽学の研究対象としても実に興味深いと思うが、すでに誰かやっていないのだろうか? もし、そうしたものがあるのならば読んでみたいし、まだならば誰かに取り組んでもらいたいものだ)