2020年4月1日水曜日

ブゾーニの誕生日

 今日、41日はフェッルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)の誕生日。あと4年で没後100年を迎えるわけだから、今の時点からすれば随分昔の人という感じがする。が、私が彼の音楽に興味を持ち始めたのは1980年代初頭で、その頃だとまだ没後60年も経っておらず、それほど古い人だという感覚はなかった(ちなみに、ブゾーニと私の生年はちょうど100年離れている)。
 当時は楽譜はほとんど手に入らず、もちろん、音源もない。ごく限られたLP盤と偶さかラジオで放送される作品以外には、ほとんど彼のことを知る術はなかった(この状況は86年に中村(金澤)攝さんと知り合うことになって劇的に改善された) 。
  そのブゾーニの若き日の佳曲《24の前奏曲》(15歳のときの作品!)をお試しあれ:https://www.youtube.com/watch?v=5wfpYZEBwmw
 
 その80年代初頭には第二次大戦後の「現代音楽」のスターたちはまだまだばりばりの現役であり、新作をラジオで聴くのが楽しみだった。もちろん、そのすべてが名作だったわけではないが、少なくとも「同時代の音楽」をリアルタイムで受容する面白さとスリルを味わうことはできた。
中でも感動的だったの尹伊桑(1917-95)の交響曲第1番(1982-83)の初演録音の放送だ。当時はまだ東西冷戦のさなかであり、世界に(今とは違った)緊張が張り詰めていた時期である。尹のこの新作はまさにそうした時代の空気を何かしら反映した(彼の場合、そこには南北に分裂していた母国の問題も絡んでくるわけだが)実に感動的な音楽で、一聴して即座に魅せられた(ので、その後、CDが出たときに購い、今でも愛聴している)。
ところが、あるときからラジオを聴くという習慣を失ってしまい、そうした感動的な新作との出会いもなかなかなくなってしまった。そこで、この習慣を久しぶりに復活させてみたらよいかもしれない。よき出会いは「千三つ」どころか「万三つ」かもしれないが、「求めよさらば与えられん」である。


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