それは米国の作曲家・ピアニストのフレデリック・ジェフスキ(1938-)の〈ウィンズボロ綿工場のブルース〉(1979)だ。これは《北アメリカのバラード集》という北米のプロテスト・ソングや労働歌を素材にした曲集の第4曲で、なかなかに人気のある作品なのである:https://www.youtube.com/watch?v=uDNy4YuCxdk
作曲者の自作自演が文句なく素晴らしいが、演奏ぶりを見てもらえるように動画を選んだ。ごらんのとおり、最初は単音が交互に連打されるとことから始まり、それがクラスターとなり、しかもどんどんその幅が大きくなっていく。この段階では「どこがバラードなんだ?」と思われよう。が、実はクラスターの最上音をたどると、ちゃんと元の歌の旋律になっているのだ(もっとも、その元歌がきちんと奏でられるのは曲の終わりの方である)。ともあれ、これも何ともクラスターが効果的に用いられた作品で、少なからぬピアニストが取り上げている(楽譜も全音楽譜出版社から出ているので、興味のある方は手にとってごらんいただきたい)。
クラスターの使い方は他にもいろいろあって、比較してみると面白い。ともするとまことに安直な効果に繋がりかねないので、このクラスターというのはなかなかに扱いが難しい素材である。が、それだけにうまく使った作品には得も言われぬ魅力がある。そうした作品の数々を集めた「クラスター名曲集」というのをいつかここで改めて紹介してみることにしよう。
今日のNHK 「FMシアター」は大津放送局の制作。実に聞き応えのあるドラマだった。
今日のNHK 「FMシアター」は大津放送局の制作。実に聞き応えのあるドラマだった。