芸術がその時々の社会のありようを何かしら(結果として)映し出すということはあるだろう。が、そのことは「芸術は~映し出さねばならない」ということではないし、何も映し出していない(ように見える)芸術に価値がないというわけでもない。
このところメンデルスゾーンのピアノ曲をあれこれ見直している。私はこの作曲家にはさほど心を動かされないのだが、それでもいくつかの作品については好ましく感じている。が、それはなぜかピアノ以外のために書かれた作品である(……と書いてから、2、3曲くらいは好きなピアノ曲があることを思い出した。が、それはあくまで例外であり、今までの私にとって、メンデルスゾーンは好ましい「ピアノ曲作家」ではなかった)。さて、これからこの見方が何かしら変わるであろうか?