今年生誕150年の大物のことをすっかり忘れていた。それはマヌエル・デ・ファリャ(1876-1946。ということは、今年没後80年でもある)。言うまでもなくスペイン近代音楽の巨匠だ。
もっとも、私がファリャの音楽をほんとうに愛するようになったのはそう昔のことではない。たとえば、名作とされる《スペインの夜の庭》などは、ある時期まで今ひとつ好きになれなかったくらいだ。
が、今は違う。幸い国内版の楽譜がいろいろ手に入るようになり、それらを眺めつつ作品を聴いていると、この作曲家のあまりに渋い技と芸に魅せられずにはいられない。
残念ながら日本語で読めるファリャ文献はほとんどない。以前は興津憲作『ファリャ 作品と生涯』(音楽之友社、1987年)があったが、版が途絶えて久しい。となると、この記念すべき年に新たなファリャ本が刊行されるか、少なくとも興津本が復刊されるかして欲しいところだ(以前、Nancy Lee HarperのManuel de Falla : his life and music(Lanham, Md. : Scarecrow Press , 2005)をぱらぱらとめくってみたときに、「これは誰かが訳してもよいのになあ」と思ったが、昨今の出版事情では難しいかもしれない)。