今日は次のものを観てきた:「分離派建築会100年展――建築は芸術か?」(https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2020/440.html)。
実に面白く、新しい建築と生活空間をつくりだそうと奮闘した人たちの熱気が伝わってきて、観ながら大いに興奮した。もちろん、「建築」ゆえに実物を持ってくるわけにはいかず(そもそも、ほとんどの建築物が現存しない)、写真、設計図、デザイン画や模型、そして、関連資料が展示されていたのだが、巧みな構成によって「分離派建築会」の仕事を素人なりに知ることができ、十分に楽しめたのである。
この展示を観つつ、ふと思い出したのが中村弦『天使の歩廊――ある建築家をめぐる物語』(新潮社、2008年)という小説だ。物語の舞台となる時代設定といい、主人公の斬新かつ芸術的な設計といい、「主人公はまさに『分離派』そのものではないか!」と驚く。そして、逆にこの実際の「分離派」の建築家たちの仕事ぶりに物語の主人公のそれに通じるロマンと情熱を感じずにはいられなかった。そして、私が今回の展覧会で興奮したのは、分離派の建築家の仕事ぶりもさることながら、それ以上に彼らの「ロマン」と「情熱」に対してだったかもしれない。