2021年2月22日月曜日

サクソフォンのフットワークの軽さ

 サクソフォンは楽器としては比較的新しく、独奏曲のレパートリーには19世紀のものもあるにしても、20世紀以降のものの方が圧倒的に多い。それゆえ、この楽器を学ぶ者にとっての「古典」は他のクラシック音楽の楽器にとってのものとはかなり異なることになる。もちろん、編曲ものによって古い時代の音楽の欠が補われてはいるだろうが、それにも限界があろう(そうした「編曲」を通して古典作品は「改釈」されることに……)。

すると、クラシック音楽の領域で活動するサクソフォン奏者の音楽史や音楽の世界の認識もまた、他の楽器奏者の認識(「他の楽器」とひとくくりにするのが乱暴なことは承知しているが……)とどこかが何かしら違っているのだろうか? ともあれ、このサクソフォンというまことに面白い楽器のフットワークの軽さと守備範囲の広さは、それが他のクラシック音楽の楽器に比べて種々の「しがらみ」から自由であることと無関係ではあるまい。

そういえば、先日、あるところでサクソフォンの演奏を楽しく聴いたが、ピアノを用いる作品ではヤマハが登場(当日の他の演奏ではスタインウェイが用いられていた)。「ははあ、これは内部奏法を使うからだな!」と思っていたら、案の定……。