チャールズ・ローゼンは数多の著作をものしているが、主著はThe Classical StyleとThe Romantic Generationである。前者は近々拙訳が出るが、後者もいずれ邦訳されてしかるべき名著だろう(目次からいくつか刺激的な章名を拾い上げてみると、たとえば「山々と連作歌曲」「ショパン:対位法と語りの形式」「リスト:演奏としての創造について」「メンデルスゾーンと宗教的キッチュの発明」などといった具合である)。
原著で700頁ほどある大著なので(私も拾い読みしかしていない)、翻訳作業の面で、そして、出版の面でなかなかの難事業になることが予想される。が、たぶん、そのうち誰かこの方面の専門家が巧みに訳してくれて、それを引き受ける出版社が現れることを期待したい。そして、私はあくまでも一読者としてその邦訳を気楽に読んでみたいものだ。