2021年2月19日金曜日

現在のロシアでどれほど「19世紀のロシア音楽の伝統」が学べるのか?

  19世紀のロシア音楽の伝統は現在のロシアにどのくらい保たれているのだろうか? もちろん、「伝統」というのは「伝言ゲーム」のようなもので同じものが温存されるということはありえない。が、ロシアの場合、ソヴィエト時代にかなりのものが廃れているだろうから、他の西欧諸国に比べて断絶の度合いは大きいだろう。

 すると、たとえば、「ロシア音楽」のスペシャリストたらんとする者が現在のロシアに学びにいけばよいということには必ずしもならないのではないか。確かにロシアでこそ学べることは少なくあるまいが(とりわけ、音楽と言語の結びつきを思えば、やはり「現地」でロシア語の環境に身を置くことの意義は大きい)、逆にそこで「伝統」だとされるものをそのまま素直に受け止めたがために忘却された過去をきちんと見直すことができなくなる可能性もあろう。

  現在のロシアで音楽を学び、冷静な観察眼を持つ人が「現状レポート」を書いてくれるとありがたい。いや、ロシアに限らない。各国の音楽留学生のレポートを集めて『新・音楽留学生』(「新」というのは、昔、『音楽留学生』という本があったからだ)を編んだら、貴重なドキュメントになるに違いない。

 

 コロナの影響で海外の楽譜も手に入りづらくなっている。かなりのものが「品切れ」になっており、注文してもキャンセルされるのだ。まあ、これは仕方がない。