次にあげるのはラフマニノフの前奏曲作品23の4の一節である。
その3小節め、上段のリズムに注目されたい。上声部にある3連符の飾りの下に旋律があるわけだが、色を付けた部分を右手だけで、たんにリズムが正確であるだけではなく、音楽的に自然に聞こえるように弾くとなると、3連符が絡むためにかなりやっかいである。
だが、たぶん、ラフマニノフはこれを左手で弾いたのではなかろうか。彼の大きな手ならば何の問題もなかったはずだし、その方が格段に弾きやすい。
そこまで手が大きくない者は右手だけでこの難題を処理しなければならない。たとえば、アシュケナージが1970年代に行った録音では3連符を些か犠牲にして旋律を優先している(次の音源の18'02"あたり:https://www.youtube.com/watch?v=NaheZW2Q-cc)が、それは必ずしも責められるべきことではなかろう。
ネット上のニューズには匿名で何でも書き込めるようになっているコメント欄の付いたものが少なくないが、ああしたものはなくした方がよい。