少し前に話題にしたロビン・ケリー『セロニアス・モンク――独創のジャズ物語』をようやく読了した。あまりの密度の濃さに毎日少しずつしか読めず、かくも時間がかかったわけだが、それに値するだけの名著だと思う。次々と新しいものが現れてはすぐさま消え去っていく世の中にあって、そんなものにはとらわれない真の「創造」とは何かを考えさせられるとともに、それに取り組む者の生き様に深い感動を覚えずにはいられなかった。
ところで、私はこれまでジョン・コルトレーンには何かしら近寄りがたいものを感じていたのだが(私の手持ちのCDは2枚のみ)、このモンク伝を読んでいると、次第に「もっとコルトレーンが聴きたい」との思いが強まっていった。彼が亡くなる数カ月前、モンクと共演した際には、あの「フリー」なスタイルではなく、それに比べればクラシカルなスタイルで素晴らしいプレイをしたというが、それはどんなものだったのだろうか? 聴いてみたかったなあ。
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モンクは日本人に対して「我々のまねをすべきじゃない。自分たちのジャズをやるべきだ」(上掲書、499頁)と述べていたという。さすがである。