2022年1月16日日曜日

グルダ《冬の瞑想》

  フリードリヒ・グルダの《冬の瞑想》はまさに題名通りの音楽である:https://www.youtube.com/watch?v=OrsJ-OSZs6kグルダの自作や即興演奏といえば、普通もっと賑やかでノリノリなのだが、この《冬の瞑想》は違う。そして、この何とも寡黙で緊張に満ちた音楽は明らかに初出のLPでの組み合わせ曲と対をなすものだ。その「組み合わせ曲」とはベートーヴェンのソナタ第32番であり、LPではこれがA面に、《冬の瞑想》がB面に収められていた(私が聴いたのはCDだから面の区別はないが、その順番で収録されている)。すなわち、ソナタの変奏曲楽章が静寂の中へと消えて行ったのち、それを承けるかのごとくおよそ20分にも及ぶ音による「瞑想」が続くわけだ。何とも見事なコンセプト・アルバムではないか(上記のリンク先の音源にはソナタが含まれていないので、「アルバム」として楽しみたい人はまず先に次のものを聴かれたい:第1楽章https://www.youtube.com/watch?v=Rfr_7FOUFCg、第2楽章https://www.youtube.com/watch?v=A6sUIWBlr4E)。