2021年12月30日木曜日

年末といえば「第九」だが

  年末といえばクラシック音楽愛好者にとっては「第九」である。コロナ禍下では平時のようにはいくまいが、昨年よりは公演数は増えたのではなかろうか。

 その「第九」だが、以前に音楽之友社から出ていたスコアには堀内敬三の訳詞も楽譜中に書き込まれていた。ということは、それで実際に歌っていた頃もあるということだろう。だが、私がそのスコアを購った少年時代(つまり、今から40年ほど前)にはアマチュアでも原語で歌うのが当たり前になっていた。そして、いつしかそのスコアも市場から姿を消し、「日本語による第九」は歴史の一コマになってしまっている。

 とはいえ、これは些かもったいないと私は思う。カタカナっぽい発音で、言葉の意味もなんとなくしかわからないままに「気分」だけのドイツ語歌唱をするよりも、発音がしやすく、意味もよくわかっている日本語歌唱で第九に取り組むアマチュアがいてもよいのではなかろうか。そんな機会があれば、私も歌ってみたいと思う。

 なお、言うまでもないが、原語で歌うのがいけないというのではない。それはそれで大いにけっこうなことだ。が、その場合にはドイツ語をある程度は学び、発音もきちんとした方がよかろう(意欲さえあれば、そして、それが楽しいと思えることであれば、年齢にはあまり関係なく人は学べるものである。出版社は発音指導のCDも付けた懇切丁寧な「第九攻略本」を出せば、それなりに売れるのではなかろうか)。すると「第九」がさらに身近な存在になり、いっそう楽しめるはずだ。