2021年1月10日日曜日

プロコフィエフのピアノ曲に観られるアクロバットの面白さ

  プロコフィエフのピアノ曲は聴いても面白いが、演奏のさまを観ても面白い。というのも、随所にまことにアクロバチックな場面があるからだ。ピアノ協奏曲第2番第1楽章の長大なカデンツァなど、あたかも『北斗の拳』のケンシロウが繰り出す動作を思わせ、観ているだけでも興奮させられる(次の動画の555秒あたりからをご覧あれ: https://www.youtube.com/watch?v=1Kwajecmh2c)。

いや、とにかく凄い。彼の他のピアノ協奏曲でも「見どころ」満載だし、独奏曲でもとにかく「観(魅)せて」くれる。そして、そうした箇所は音としてもまことに刺激的だ。この点でプロコフィエフは紛う方なくスカルラッティの末裔である。

 これはプロコフィエフ自身が優れたピアニストであったことが大いに関わっている。彼一流のアクロバットは「紙の上」だけで考えられたものではなく、自身であれこれ弾いてみる中で生まれたものに違いない。が、それにしても何というピアノ演奏技法上の「冒険」であり、「創造」であることか。