2021年1月15日金曜日

メモ(28)

 音楽行為、とりわけ、作曲家以外の者のそれを「受け身」なものとしてではなく、もっと積極的なものとしてとらえようとする昨今の論調には大いに同感できる(たとえば、ニコラス・クックの近著Music as Creative Practiceなど)。が、そうした行為に無条件にcreativeという形容詞をつけることは私にはためらわれる。なるほど、この語は今では原義よりも遙かに広い意味で用いられているとはいえ、それだけで演奏者や聴き手の行為すべてを語れるとは思えないからだ。それゆえ、creativeという語を用いつつも、それ以外の語も併用して音楽行為の諸相を描き出したいと私は考えている。