今年生誕100年を迎える西洋芸術音楽の有名作曲家はあまりいなさそうだ。私がぱっと浮かんだのは入野義朗とマルセル・ビッチュくらいか。調べてみると、マルコム・アーノルド、アルノ・ババジャニアン、アルフレッド・リードなどが1921年の生まれだとか(アストル・ピアソラもそうだった。が、彼を「西洋芸術音楽」の狭い枠に押し込めるのは失礼だろう)。ビッチュは作曲家というよりも和声や対位法の教師として高名だが、その課題はまことに美しい。
演奏家ですぐに思い出されたのがアルチュール・グリュミオーだ。私にとって彼は「大」ヴァイオリニストではないが、とても魅力的な「名」演奏家である。ゲーザ・アンダもやはり1921年の生まれ。こちらも私にとっては好ましい「名」ピアニストだ。それにしても、100年前に生まれた人の演奏を録音によってであるとはいえ今でも聴けるのはありがたいことである。無理なのはわかっているが、200年前に生まれた人の演奏が聴けたらどれほど面白いことだろう。