2021年1月7日木曜日

「映画を観たり音楽を聴いて過ごす」

 学生の文章を添削していると、いろいろ発見があって面白い。たとえば、あるときに気づいたのが、「~たり」を誤用する人が少なくないことだ。すなわち、「私は休日には映画を観たり音楽を聴いたりして過ごすことが多い」などと書くべきところを「映画を観たり音楽を聴いて過ごす」というふうに、並列する動作や状態すべてに付けるべき「たり」が最初のところにしかないわけだ。

 何人もの学生がこの誤りを犯しているのだが、それには何か理由があるのかもしれない。この例に限らず、母語で犯しがちな誤用というものが他にもあることだろう(かく言う私も自分で気づかずにいろいろと語の誤用をしているに違いない(恥))。そうしたものを日本語学者がまとめて便覧のようなものをつくれば、たぶん重宝がられるのではないか。

 学生の文章に教えられることもある。たとえば、「ひもとく」という語を「解明する」の意味で使っている学生がおり、私はそれが誤用ではないかと思ってインターネットで調べたところ、次の記事を見つけた:https://mainichi-kotoba.jp/enq-108。いや、これは知らなかった。「言葉は生き物」であると改めて思い知らされた次第。