2021年1月17日日曜日

演奏にとって聴衆は邪魔?

  本来、演奏というのは聴き手との一種のコミュニケーションの手段であり、場であったはずだ。ところが、20世紀にもなると、「演奏にとって聴衆の存在はむしろ邪魔だ」と考える演奏家が現れ始める。

 その点で潔く演奏会場を去り、録音スタジオに籠もったグレン・グールドの振る舞いには論理的一貫性があり、道理に適っている。私が些か不思議に思うのは、演奏会を続けているにもかかわらず、「よい演奏のためには聴衆は不要(邪魔)だ」と考えていた演奏家の存在だ。彼らの考え方と演奏様式の間には何かしら関係があるに違いない。

 さて、21世紀の演奏家は聴衆の存在をどう考えているのだろう?