2021年1月23日土曜日

コルトーが弾くショパンのエチュードを久しぶりに聴く

  アルフレッド・コルトー(1877-1962)が弾くショパンのエチュード(2回の全曲録音のうち、最初、つまり、1933-34年のもの)を久しぶりに聴く。実によい。録音自体も十分よく、拙宅の安物の再生機でもまことにリアルに聞こえる。

 今から90年近く前の録音であり、作品自体はさらにその100年前のものなのだが、こうして聴いている者にとっては、それは「現在」の音楽だ。なんとなれば、直接聴き手に何かを生々しく語りかけてくるのだから。

 他方、現代の作品であっても、あるいは、眼前で繰り広げられる演奏であっても、何も語りかけてこないようなものもある。なぜ、そうなるのだろう? そして、そうした場にいると、まるで自分が透明人間になったような気がする。