安冨歩さんから新著(もうじき発売)をお贈りいただいた。それは『生きるための日本史――あなたを苦しめる〈立場〉主義の正体』(青灯社)というものである:https://seitosha-p.com/2021/03/post-100.html。
その「序章」に次のような言葉がある(上のリンク先でも引用されているものだ):
この本で論じようとしているのは、この世界観の中心にある「立場」という言葉 です。この観点から見た「立場の日本史」だと言ってもいいでしょう。それは、客観 的歴史描写というよりは、「私は、なぜ、いま、ここで、こんなふうに、生きている のか」を問うための主観的な歴史学です。そこから私自身の実像を理解し、これから を生きていくためには、何をどうすればいいのか、を知りたいのです。
私はこれを「私の世界史」という言葉で表現しています(同書、15頁)。
そして、同書全体はこう締めくくられている:
あなたの生き延びる道を見出し得るのは、あなた自身以外にありえません。私は私 の世界を生きますので、あなたはあなたの世界を生きてください。そして「あなたの 世界史」を見出していただきたいと思います。本書がその助けになることを願います (同書、269頁)。
もちろん、これは「私の世界」と「あなたの世界」が全く交わらないということではない。むしろ、本当の意味での交わりを産み出すためにこそ、まずは各自が「自分の世界」を生きてみなければならない、ということである(そうした生き方を妨げているのが、たとえば、著者が言うところの「立場」であろう)。
ともあれ、これから同書をゆっくりと読み、「私の世界史」(「私の世界・史」かつ「私の・世界史」)を思いつつ、自著の執筆に励みたい。安冨さん、刺激を与えていただき、どうもありがとうございました。