2021年4月4日日曜日

メモ(41)

  日本人がたとえば英語で1つひとつの語を正確に発音したとしても(いや、むしろそう発音するからこそ)、その発話は英米人にはほとんど伝わらない。語の強弱とリズム、そして、語が連なったときに生じる(べき)種々の音の変質を踏まえていないからだ。同じことが音楽の演奏についても言えるのではなかろうか。

 だとすると、日本人にとって「ソルフェージュ」というものが持つ意味は欧米人よりも格段に大きいことになろう。 その訓練なくして西洋音楽の演奏をしようというのは、いわば「カタカナ英語」で英文を朗読しようとするものではないか。

 もちろん、耳とセンスのよい人は自分で西洋音楽の「発音」を身につけてしまうだろうが、並の日本人でもうまく学べる――音楽での「日本語訛り」を矯正できるような――ソルフェージュのメソッドがあればそれに越したことはあるまい。