2021年4月26日月曜日

蘇る胸の高鳴り

 昨晩、武満徹の名作《弧》1963-76)を聴き、少年時代に覚えた胸の高鳴りが蘇った。

今から40年ほど前、私の「現代音楽」の聴き始めは武満の音楽であり、《弦楽のためのレクイエム》(1957)と《地平線のドーリア》(1966)、そして《弧》が収められたLPは愛聴盤だったのである。

その後、武満から遠ざかった時期があった。それもかなり長く。だが、近年、再び心穏やかに彼の音楽に耳を傾けられるようになり、それとともに少年の日の感動が蘇り始めたのである。昨晩もまた。世の中はすっかり変わってしまい、自分も当時思ってもみなかったような暮らしを今はしているが、《弧》の感動は今なお色褪せていなかった。

今現在の少年少女が聴き、後年、懐かしさや感動とともに再び味わえるような「現代の」作品があるだろうか。そうしたものと出会えた若者は幸せである。