『グリム童話』を久しぶりに読み返していて、ふと気になったことがある。それは物語の悪役、悪人の多くが女性――魔女、(継)母、妻、娘など――であるということだ(もちろん、善人の女性も少なからず出てくるが)。他方、男性はといえば、頓馬、愚か、無鉄砲、お調子者などが出てきはするものの、女性ほどには悪人に描かれてはいないようだ。これはどうしたことだろう?
古典的なテクストはジェンダーの歴史研究の格好のネタであり、この『グリム童話』などはまさに突っつきどころ満載であろう。試しにインターネットで日本語に限って検索してみたところ、いろいろある。もっと詳しく海外のものも探せば、上記の私の疑問に答えてくれるものも見つかるかもしれない。
さて、もし、『グリム童話』を現在の物語として換骨奪胎したものをつくるとすれば、どのようなかたちになるだろうか。「物語の構造分析」を行った上で土台となる骨組みは温存しつつ、種々の設定を現代的なものに変え、登場人物の役割や性別も話によっては適宜入れ替えるとなかなか面白いものができるのではなかろうか。
そういえば、今日はフェッルッチョ・ブゾーニ(1866-1924) の誕生日だ。一昔前に比べれば彼の作品は随分演奏されるようになったし、録音も格段に増えている。が、それでもごく一部の作品を除けば普通の演奏会のレパートリーにはまだなっていないようだ。もったいないことである。