気温が上がってくると私は次第に「気分はギター」になってくる(のみならず、「スペイン音楽熱」も上がってくる)。寒い季節には遠ざけていたこの楽器の音楽が無性に聴きたくなるのだ。ギター自体は持っていないが、もしあれば、ぽつぽつ爪弾き始めるだろう。
というわけで、今日久しぶりに聴いたのがサルバドール・バカリッセ(1898-1963)のギター協奏曲(1952)だ:https://www.youtube.com/watch?v=fnVzukjOsPI。このスペインの作曲家は同国のロドリーゴの3つ年上だから、まあ同世代人である。ギター協奏曲といえば、このロドリーゴの《アランフェスの協奏曲》が抜群に有名だが、このバカリッセの協奏曲もそれに劣らぬ名曲だ(……が、私は初めのうちはそのよさがなかなかわからなかった)。
バカリッセはロドリーゴとは異なり、フランコ政権には馴染めず、パリに居を移しており、この何ともスペインらしい協奏曲もその地で生まれている。こうした音楽を書く中で作曲家の胸に去来したものは何だったのだろうか。