2024年7月6日土曜日

(無題)

  私が「現代音楽」を聴き始めたのは1980年のこと。そのとき、とりわけ1950年代や60年代の作品が関心の的となったわけだが、当時14歳頃だった自分にとってそれは随分昔の音楽に思われた。なんとなれば、ほとんどの作品は自分が生きてきた年数よりも長い時を経ていたものだったから。

 ところが、あと数年で60にもなろうという現在の自分にとっては1020年前というのはそれほど昔のことには感じられない。これもやはり、今の自分の年齢を元に時間の経過を測るからだろうか。不思議なものである。

 さて、その5060年代の作品だが、私にとってそれはもはや「クラシック音楽」の仲間入りをしてしまっている。かつて「随分昔の音楽」だと思った頃には、そうはいっても当時の自分とどこかで繋がっているような感じがしたものだが、今やそうではない。だが、だからこそ、つまり、それ相応の「隔たり」があればこそ、作品によっては昔とは違った聴き方やとらえ方ができ、そこに違った魅力を見いだせるということもあるだろう。