いよいよ私――寒さには強いが暑さには極めて弱い者――にとって辛い季節が始まった。だからといって、生きている限りこれは避けては通れないので、じっと耐え忍ぶしかない。
そこで暑気払いに音楽を活用するわけだが、「毒を以て毒を制す」ということで暑苦しい「現代音楽」はなかなか悪くない。というわけで、今日はドイツ・グラモフォンの「アヴァンギャルド・ボックス」(以前、このブログで話題にしたもの)の1枚を聴いた。それはイタリアのgruppe nuova consonanzaという楽団の即興演奏を収めたものである。1969年に録音されたディスクだが、まさに当時の世相を反映してか、実に「熱い」演奏である。
ところで、この楽団には面白い人物が参加している。それは映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)だ。彼はトランペットを担当しており、件のディスクでもなかなかに過激なプレイを聴かせてくれている(収録曲の1つ:https://www.youtube.com/watch?v=x70SJFcQFvI)。これは決して「片手間」の仕事ではない。すると、もし、モリコーネがこちらの方に入れ込んでいたら『ニュー・シネマ・パラダイス』その他の映画音楽を書くことはなかっただろう。そして、私たちもそれらの感動の名曲に触れることができなかっただろう。