最近、ある美術館の周りにある遊歩道を巡っていたときのこと。どこかから楽器の音が聞こえてくる。そんなところでするはずのない音だ。案の定、いくらか進むうちにスピーカーが目に入ってくる。マルチ・チャンネルでそれなりに工夫された音響なのだが、自然の音の中ではそれは「余計な付け足し」にすぎない。はっきり言えば「邪魔」以外の何ものでもない。
この国の「バブル」時代に「環境音楽」というのがもてはやされたが、その後どうなったのだろう。中には優れた効果をあげているものもあったが、多くは先の場合のように「余計な付け足し」でしかなかった。そうしたものを有意義なものにするには、当の環境によほど注意してサウンドを設計しないといけないわけだ。
往時の「環境音楽」について事後の検証作業はどの程度なされているのだろう? もし、そうしたものがあれば読んでみたいものだ。