2024年9月4日水曜日

シューマンの交響曲のマーラー版を聴いて

  シューマンの交響曲の管弦楽書法にマーラーが手を入れたものを久しぶりに聴く。このCDを購ったのは随分昔のことだが、そのときはまだ原曲が頭に入っていなかったので、マーラーがどこをどうしたかがわからなかった。が、原曲にそれなりに馴染んだ今ならば、両者の違いを楽しめる。

 マーラー版を聴いてまず思ったのは、「ああ、音楽の風通しがよくなっているなあ」ということだ。シューマンの原曲は、こういっては何だが、管弦楽曲としては些か野暮なところがある。ただし、作曲者が自身のスコアの演奏効果を十分承知の上で書いているのだとすれば、マーラーの「手入れ」は「余計なお世話」だということになる。が、1つの「作品解釈」だととらえれば、マーラーの行ったことにも一理あると私は思う。ただし、それはもはや半分くらいは「マーラーの音楽」であり、そのようなものとして私は楽しんだ。

 それにしても、シューマンの交響曲は私にとっては長らく容易に近づきがたいものだった。それはやはり、他のいかにも「交響曲作家」の作品と比べてしまっていたからだろう。だが、あるときから、そんなことは気にせず、シューマンの他の曲種との繋がりで聴くようにしてみた。すると、「ああ、なるほど」と思えるようになったのである。とともに、この作曲家への愛がいっそう深まった。