これまで作曲をしかけて頓挫したり、途中で投げ出したりした曲は数えきれず。別に未練はないが、中には「仕切り直し」をしたいと思うものが2、3ある。そのうちの1つは「賽の河原地蔵和讃」に基づくものだ。ご存じ、「これはこの世のことならず. 死出の山路の裾野なる. 賽の河原の物語. 聞くにつけても哀れなり. 二つや三つや四つ五つ. 十にも足らぬおさなごが. 父恋し母恋し. 恋し恋しと泣く声は. この世の声とは事変わり. 悲しさ骨身を通す」と始まるあの有名な和讃である(これには「長い」版と「短い」版があるが、私は後者を採る)。
昔これに取り組んだときには「現代音楽」の手法によっていたが、これから書くとすれば、たぶん、かなり「折衷的」な様式になるだろう。すなわち、歌のパートは旋法的にして歌いやすいものにし、器楽伴奏部分で「好き勝手」をやりたいと思っている。が、果たしてこの計画が実現するのはいつのことか。まあ、「趣味の作曲」だから気長に……。