シェーンベルクの『和声学』の翻訳出版計画を進めている人たちがいるという話を耳にしたことがあるが、これは実現を多いに期待したい。それはたんなる音楽理論書ではなく、20世紀初期の音楽史の貴重なドキュメントだから。
シャルル・ケクランの『和声論』も同じ意味でまことに興味深い書だが、果たしてこちらは翻訳される可能性があるかどうか……。昔々、『和声の変遷』という題名で邦訳された書物とほぼ同じ内容をも含む、浩瀚な和声の理論・実習書だが、これも邦訳されれば(さほど多くはないとはいえ)喜ぶ読者がいるはずだし、そこからいろいろ学ぶ人たちもいよう。