2021年6月9日水曜日

言語が演奏に及ぼす影響

  ドイツ人でもドビュッシーを見事に弾くし、フランス人でもベートーヴェンをすばらしく演奏する。が、ドイツ語とフランス語では言葉の響きが違うし、リズムも大きく異なる(そのことは両者を聴き比べればおわかりいただけよう)。となれば、それは音楽の演奏にもどこか反映されているはずだ。

そこで、ドイツのピアニストが弾くドビュッシーやベートーヴェンの録音をフランスのピアニストによるものと言語の発音の特性という観点から音声分析をすれば興味深い結果が得られるのではなかろうか(その際、「国際的に活動している者/国内のみで活動している者」の違い、「国際コンクールの上位入賞者/無冠の者」といった点でも比較してみるとなお面白かろう)。

 では、日本人の演奏(精確に言えば、「日本語的な演奏」)だとどうなるのか? そして、その点で日本人が弾くベートーヴェンをドイツ語人が、ドビュッシーをフランス語人がどのように聴き、どう感じているのか――このことに私は大いなる興味を抱いている。